RZ250
RZ250は1980年にヤマハから販売された水冷2ストローク2気筒250ccのオートバイ。RZ250に搭載されたエンジンは、ヤマハ市販レーサーであるTZをベースに開発されたものであり、当時の同クラスとしてはトップの35psを誇っていました。
前期モデルであったRDから20%近く軽くなったダブルクレードルフレームに、フェンダーやサイドカバー、クランクケースまでも樹脂部品を使用するなど徹底した軽量化が施され、RZ250のパワーウエイトレシオは3.97kg/psという驚くべき数字を達成。これはリッター当たり140馬力の高出力を意味しているのです。その走行性能の高さは特筆するものがあり、上位排気量の4ストローク400ccクラスとも対等以上に渡り合える性能だったことから「400キラー」の異名を持っていたほどです。また、モノクロスサスペンション、新デザインのキャストホイール、ハロゲンヘッドライトなど、当時の最先端技術を装備して発売されたRZ250は、注文から納車まで3ヶ月待ちなどという状況が続くほどでした。
RZ250のエンジンは扱い易い4サイクルとは異なり、RZ250をキビキビと走らせるには一番パワーの乗ってくる7〜8,000rpmの回転域を使わなければならず、まさにピーキーという表現がピッタリの特性を持っていました。こまめなギヤチェンジでこの回転域を保つ限り、250クラスでRZ250は無敵とまで言われました。しかし、初心者にとってはクセのあるエンジンですから、RZ250は乗りづらいオートバイになってしまいます。その結果、RZ250に乗っているライダーは「運転が上手い=速い」というイメージが定着し、初心者ライダーからは「いつかはRZを乗りこなしたい」というRZ神話が生まれていったのです。